今回は医者・釜池豊秋先生の「食べても太らない!糖質ゼロの健康法」を読んで、ざっと先生のいう糖質制限法をまとめてみました。
ありがた~いご教示はたくさん載っていますが、このまとめはダイエット中のわたしが気になったところのみです。
糖質ゼロ食の基本ルール
糖質をほとんど摂らない、肉・魚を中心とした食事。
糖尿病、肥満など各種生活習慣病を改善・解消する健康法として打ち出している。
定めるルールは主に以下のような感じ。
- 1食につき糖質5グラム以下しか食べないようにする。
- タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど重要栄養素はしっかりと摂る。
- 糖質の多い穀類、果実、菓子などは食べない。当然砂糖やハチミツもNG。
- 朝食は抜き、夜が食事のメインとなる。
食事のタイミング
上記のとおり朝なしで夜をメインにして食べる。
「1日3食バランスよく食べる」はまちがい。
朝はなし。無糖コーヒーなどですませる。
昼はチーズやゆでたまごなど、できるだけ少なく。
夜は肉・魚を中心に好きなだけ食べる。(お酒もOK)
肉と魚は、調理済みのものや加工品(ソーセージ、ハム、ベーコン、かまぼこ、つみれなど)は余計なものが含まれていることが多いのでなるべく避けたい。
刺身、馬刺しなどのようになるべく生食をするのがベスト。
野生動物の食事の理論
野生動物に肥満症はない。
野生動物は、本能の命ずるままに「おなかがすいたとき」にだけ食べている。
たとえばライオンもおなかがすけば獲物を狩るが、ふだんはシマウマなど草食動物の獲物たちを見つけても襲い掛かったりしない。
狩りをしないあいだは絶食をしており間食などもしないが、健康である。
いっぽうヒトは健康のためという大義名分のもと1日3食を食べ、さらには嗜好品として間食もしている。
野生動物に肥満がないのにたいしヒトは肥満・生活習慣病などトラブルを抱えている。
もともとヒトがなにを食べていたか
釜池先生の考察では、肉食動物の食べ残しすらハイエナたちに先を越され食べられず、おそらくヒトはその残骸に残された骨から骨髄を主食にしていたのではないかという。
なお骨髄はタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど重要な栄養素が多いが、そのいっぽうで糖質はほぼゼロである。
「1日30品目食べましょう」という常識的なガイドラインにも懐疑的で、もともとヒトはおろか各種動物たちは、自分たちの暮らす環境で手に入る食物を「偏食」して生きているという。
その視点から見ると、品目の多さに固執するのもおかしな話である。(バランス良く豊富な栄養素を摂ることが目的なのかもしれないが)
気を付けるべき食材
イモ類
糖質が多いのでNG。ただし例外としてこんにゃく・しらたきはOK。
豆類
糖質が多いのでNG。ただしゆでた大豆・豆腐はOK。
果実
果糖(糖質)が非常に多いのでNG。ただしアボカドはOK。
ナッツ類
アーモンド・ピーナッツなどは意外にも糖質が多く含まれているのでNG。
ただしクルミはOK。
その他の野菜
おおまかに緑野菜がOK。葉物野菜OK。
カボチャ・レンコン・ゴボウ・ニンジン・タマネギは糖質を多くふくむので食べる量に注意。
※上記食材たちの「ただし●●はOK」の根拠は記載がなくよくわからない。
人体のエネルギー源について
ヒトの主たるエネルギー源は、糖質ではなく脂質である。
糖質はグリコーゲンというかたちになって肝臓と筋肉のなかに蓄えられる。
だがこの貯蔵量は成人でおよそ1,000キロカロリー程度。
1日の基礎代謝量すら満たしていない。
いっぽう脂質は脂肪というかたちで貯蔵されている。
この脂質は1グラム9キロカロリーのエネルギー源に変換される。
仮に体重60キロの人で体脂肪率が20%ならば、脂肪量は12キロ。
その身体に搭載している脂質エネルギー量はおよそ108,000キロカロリーにもなる。
糖質とは雲泥の差である。
なお例外として、赤血球などのミトコンドリアのない組織は糖質しかエネルギー源にできない。
脳のエネルギー源も脂質(ケトン体)である
糖質制限を主張するとき、「飢餓時をのぞいて、脳はブドウ糖しか使えない」 という反論を受けることがあるが、これを先生は間違いと説く。
肝臓で脂肪酸からつくられるケトン体という物質がある。
これは「3-ヒドロキシ酪酸」と「アセト酢酸」の総称。
血液中で圧倒的に多いのは3-ヒドロキシ酪酸。
(先生は「3-ヒドロキシ酪酸は正確にはケトンではないから、ケトン体という用語の使用はやめたほうがいい」とのこと。)
3-ヒドロキシ酪酸は炭素数4つの小さな脂肪酸のため、脳血液関門を通過できる。これは脳でも脂質がエネルギー源となる理論の入り口となる。
元ハーバード大学教授ジョージ・ケイヒル博士らの研究で「脳細胞はブドウ糖よりも3-ヒドロキシ酪酸を好む」という論文が発表されている。
おまけに糖質より、この3-ヒドロキシ酪酸が使われる過程においては活性酸素の発生が少ない。→身体の老化速度を落とし、スローエイジングにもなる。
日中おなかがすくのは朝食のせい
糖質を摂れば代謝されてブドウ糖となる。
ブドウ糖は血液中にとりこまれ血糖値を上げるが、上がりすぎを防ぐために膵臓からインスリンホルモンがでる。
インスリンの作用により血糖値がもとに戻るまで下がるのはおよそ3時間後。
ところがインスリンの作用はさらに1時間続いてしまう。
これにより血糖値は食事前よりも下がってしまうため、ヒトは低血糖というピンチを空腹(飢餓)というかたちで感じることとなる。
糖質ゼロ食を徹底することで自然と空腹感を感じる機会も減り、食事回数は減らすことができる。
アトキンス式・江部式糖質制限について
釜池先生は、2000年に海外から日本へ低炭水化物(ローカーボ)ダイエットの概念を持ち込んだロバート・アトキンス先生と、それとは別に独自の糖質制限論を世に展開した江部康二先生についても見解を述べている。
なおアトキンスダイエットは世界的に1900万部以上売れたにもかかわらず、日本ではあまり流行らなかった。
それについて、江部康二先生はアトキンスに否定的で、アトキンス式ダイエットには「そのやりかたでなぜやせるのか?についてが理論的にはっきりとしていなかった。理屈づけのところで不合理な面があった」のだそう。
しかしいずれの理論にせよ、インスリンを別名「肥満ホルモン」と呼んでいる点は共通しており、その名の通りインスリンには身体に脂肪をたくわえさせる働きまで搭載されている。
江部式・糖質制限食よりも、釜池式糖質ゼロ食
先生によれば、摂取する糖質をかなり少なくする江部式糖質制限でも不十分だという。
インスリン放出は少量の糖質摂取で起こるため、江部式では食事のたびにインスリンが放出されてしまう。
そしてインスリンが放出されると相対的に3-ヒドロキシ酪酸が活用されづらくなってしまう。
インスリンの放出を許してしまう(=3-ヒドロキシ酪酸を活用できなくする)ゆるい糖質制限では健康長寿の目的は達成できないらしい。
血統上昇と下降のホルモンの差
低血糖を防ぐために活動をするホルモンは以下のものがある。
- グルカゴン
- グルココルチコイド
- 成長ホルモン
- カテコールアミン
- 甲状腺ホルモン
対して高血糖を防ぐために活動するホルモンは、インスリンのみ。
このことから、やはりヒトの身体は本来、低血糖の脅威にさらされることはあっても高血糖に悩まされる予定はさらさらなかったボディなのだということがうかがえる。
参考文献
今回参考にしたのは「食べても太らない!糖質ゼロの健康法(著/釜池豊秋)」でした。
本書には多くの詳細な理論と、更なる専門的情報が多数掲載されているので、もし気になるようでしたらぜひ一読ください。