HILTON FUN CLUB

ヒルトンマニアがヴィーガンでダイエットとかする話

《保存版》糖質制限のメカニズムをやさしく解説

先日、2週間糖質制限を続けたにも関わらず、身体の変わらなさに絶望した記事を掲載しました。

その流れで、次はわたしの糖質制限生活のネクストフェーズへ進む予定であります。
しかしその前にわたしのこころざす『糖質制限』についていったん整理しておこうと思います。

どうして糖質制限するのかについて、自分自身いったん整理していきます。

糖質制限はダイエットのみならず健康への影響もあるため
ここでは『糖質制限ダイエット』と名乗りません。
そして『糖質制限健康法』とも名乗りません。

純粋に糖質制限という行為について分析します。

糖質摂取のメカニズム

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まずは、糖質が身体にそもそもどういった反応を与えて、それによって何が起きているかをかみ砕いていきましょう。

糖質を摂取すると体内でどうなるか

  • 炭水化物(糖質+食物繊維
  • 脂質
  • たんぱく質

これら3大栄養素のうち、炭水化物をさらに分別して『糖質』ここがお話の主役です。炭水化物=糖質じゃないので注意です。

さて、糖質を摂ると何がどうなるかを見てみます。

1.糖質をそれなりに含んだ一般的な食事をする《糖質摂取》
↓↓↓ 食後1時間のうちに……
2.血液中にブドウ糖が増える《血糖値上昇》
↓↓↓
3.血糖値を下げるためにすい臓からインスリンが出動!《インスリン分泌》
↓↓↓
4.インスリンの働きで糖がグリコーゲンとして肝臓&筋肉に取り込まれる
↓↓↓ しかし肝臓&筋肉に貯蔵できるのはわずか1,000kcal以下
5.血液中に余った糖が脂肪細胞に中性脂肪として溜め込まれる

糖質を摂ると一部は肝臓と筋肉にいくけれども、残りはぜーんぶ中性脂肪に変わっちゃうよという基本構造がまずあります。

これが糖質から来る肥満の原因となっています。

糖質過多で起こりうる健康被害 

人それぞれで糖代謝の基本能力は個人差があるようですから、そこはしかたないとして。
一般的に『自分の身体の中に糖質過多が起きた!』場合、上記のように中性脂肪の値は高まっていきます
そして糖代謝で処理しきれない糖は血液中の糖分を高めて血糖値を上昇させます

そうなると、どんな未来が待っているでしょうか。
考えられる健康被害は例えば以下です。

  • インスリンが常に血管のなかにある状態となって慢性疲労になる
  • 腎臓の働きがにぶって血管内の水分が増える→高血圧になる
  • 自律神経が乱れる
  • 余分な血糖で血管炎症が起こる→脂質異常、動脈硬化の原因になる
  • インスリンが出たり出なかったりと、そもそもの機能異常も発生する
  • 尿酸値や肝臓の数値も高くなっていく
  • 血糖値が高いままとなって糖尿病と診断される
  • 糖尿病からの各種合併症を併発→心筋梗塞、脳卒中、糖尿病網膜症、糖尿病腎症etc

老化も進むよ!『糖化現象』

ここでひとつの残念な構造式を見てみましょう。 

[余ったブドウ糖]+[たんぱく質]=[糖化たんぱく質]
[糖化たんぱく質] makes [AGE(終末糖化産物)]

はい、こちらはAGEさん。
糖代謝されない余っちゃった糖とたんぱく質が生みだした、悪玉物質です。
糖化したたんぱく質から発生します。このAGEが身体のそこらじゅうに溜まってくると、いたるところで老化現象を引き起こすという研究結果が出てきています。 

え?肌のハリがなくなってきた?
 →(´・ω・`)ノシ はい、AGEです!肌を老化させています!

え?血管の機能が悪くなってきた?
 →(´・ω・`)ノシ はい、AGEです!血管を老化させています!

これまで老化の原因のひとつとして広く知られてきている「酸化」 。
この酸化よりも糖化のAGEによる老化のほうがダメージが深刻だと現在考えられています。

糖質を摂ると脂質がエネルギー源にならない

インスリンは、肝臓と筋肉への糖の取り込み機能だけじゃありません。
彼はすでに身体にある脂肪の分解をストップさせる機能があります

だって、インスリンの使命は血液中の血糖を下げること。
たとえ豊富に脂質というエネルギー源を身体にかかえていようとも、インスリン的には「さきに血液の中の糖を使って!」ということで身体(筋肉など)はインスリンを呼び出す根源となった糖質たちをいちはやく処理するためにあれこれ頑張ってしまう性質があります。

糖質摂取で上がった血糖値はだいたい3時間くらいもすれば、インスリンにおってもとの状態に戻ります。
さらにインスリン自体が落ち着くのにさらに1時間。つまり、糖質を摂取すると4時間は脂肪がエネルギー源にならないという問題の事態におちいります。

糖質制限のメカニズム

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糖質を過剰に摂取し続けると、肥満もそうですがそれ以外にも、ほうぼうに健康被害をもたらす危険があることがわかりました。

ではいよいよ、世間一般でもだいぶ認知度が上がってきた「糖質制限」について整理してみましょう。

前段1:『エネルギー源は糖質』は本当?

ポイントとなる考え方を整理していきます。
まずは掲題のとおり「本当に人間のエネルギー源って糖質なのか」です。

まず、三大栄養素のうちたんぱく質はそのほぼすべてが『身体の組織をつくる材料』として使われエネルギー源にはなりません

そこで残されたエネルギー源の候補は糖質と脂質。

一般的な成人が、肝臓と筋肉に貯蔵できるのは1日の消費カロリーに到底満たないわずか1,000kcal以下です。

蓄えられないからこそ、基本的に「今スグ使うよ!瞬発力大事!」という最初のエネルギー候補として糖質が出てくるわけですね。

わたしの場合で数えます。
体重70kg。体脂肪26%です。
ということはわたしの身体の中にある脂肪は18.2kg。
わたしは18.2kgの重りを背負って日々歩いてます。

そしてその18.2kgの脂質クンたちは、我が身にどれだけのエネルギーを与えてくれるのかというと、脂質は1g=9kcalに相当しますから、

わたしの戦闘力は163,800 kcalです。

日々なにも取らなくたって(水分は必要ですが)基本的にわたしがエネルギー不足になることはまず、ありません。これが基本になります。

ちなみに、以下の記事に出てきた、ダイエットの動機になった尊敬できるセンパイ、

彼のボディスペックでの戦闘力を比較として計測してみましょう。
彼は背が高く180cm。さらに筋肉はちゃんとついているので、そういった意味で多少は体重があるでしょう。
正確には知らないですがたしか66kgくらいだった気がします。
しかし体脂肪は9%です。

よって彼の身体にある脂肪はわずか5.94kg。
脂質1g=1kcalだから……

彼の戦闘力は53,460 kcalです。

 

唯一、尊敬するセンパイに勝てることがこれで見つかりました。
わたしと彼では、日々背負っている天然ダンベルの重さがすでに10kg以上違うんです。
どうりで軽やかなはずです。
仕事のフットワークも、運動のフットワークも。 

ともかく、人体にはあらかじめ脂質でエネルギーを蓄える基礎構造ができあがっており、割合を見てもわかるとおり、明らかに糖質より脂質のほうがエネルギー源として優秀です。

前段2:脳が使える唯一のエネルギー源はブドウ糖?

答えはNo。これの真実はこうです。

『脳は長期的な糖分欠乏状態(飢餓ともいう)を除いて、ブドウ糖を唯一のエネルギー源として使う。』

そもそも糖質制限によって糖質摂取量を下げているかたたちの脳みそは、キチンと機能します。
野生の動物は長期間絶食できます。そして蓄えておいた脂質をゆっくり使ってエネルギー源とする。あれと同じです。人間も必要になれば可能です。

この必要を自ら生み出そうとする活動が『糖質制限生活』の真骨頂です。

前段3:『糖新生』で糖分は十分足りる

人間の身体で、唯一脂質でのエネルギー代用が効かないのが、絶対にブドウ糖を必要とする「緊急時の筋肉」と「赤血球などミトコンドリアのないごく一部の細胞」です。

緊急時は置いておいて、ミトコンドリアのない細胞は脂質を使えないんです。
※細胞が脂質を使うには『クエン酸回路』がいるが、クエン酸回路はミトコンドリアの中にあるため

そこで人間もどうしてもブドウ糖は必要なわけですが、これ、自分でつくれます。

肝臓の機能『糖新生』で体内に必要な糖質は全部まかなえます。

メモ
糖新生………アミノ酸(たんぱく質の分解産物)からブドウ糖を作り出す肝臓の機能

わざわざ体外から食事で摂り込む必要はありません。

糖質を制限すると体内でどうなるか

ではいよいよ、上記前段のなんやかんやもあって、糖質制限のメカニズムを整理すると、

糖質を制限するとインスリンが分泌されない
↓↓↓
ブドウ糖が中性脂肪として蓄えられない《脂肪増加の停止》
↓↓↓ 
エネルギー源として脂質が分解される《脂肪の減少》
↓↓↓
ハッピーエンド 《太らない!病気しない!》

ざっくりこういう流れになります。

難しい専門用語や細か~い化学物質の話はそぎ落としてシンプルにまとめると、これが目指したいゾーンになるわけです。

争点:どうしてゆるい糖質制限だと痩せなかったのか

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ここが最後のポイントになるわけですが、議題そのものがひとつの解となる気がします。ゆるい糖質制限だったから痩せなかったのです。

1食あたり5g以下の糖質がターゲット

糖質ゼロの健康法を推進されている釜池豊秋先生によれば

1食の糖質摂取量を最大で5グラム未満にします。その結果、血糖値を引き下げるインスリンが放出されません。

引用:『糖質ゼロ』の健康法  /釜池豊秋

とのこと。

 ゆるい糖質制限生活によって、わたしは1日の総量は少なく設定、実現できていました。
それでも1食を10gとして3回。間食を10gとして3回。それで合計60g未満というのが目標でした。このゆるさが、本来の糖質制限のコアとなる恩恵メカニズムを破壊していたことになります。

わたしの糖質制限生活ではインスリンくんが発動しているのです。 

そこへ来て、例えばケーキとかの大きめな糖質、または脂質をガツンと摂る。
すると、どうなるか制限してるのに見事に脂肪が蓄えられます。  

追加の考察:空腹感について

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これはありがたいことに、糖質制限を始めてほんの数日目くらいで、みるみるうちに空腹感が薄れていきました。
今では基本的に、朝も昼も軽食(ヨーグルトとか、みそ汁とか、納豆とか、たまごとか)を摂るだけで満足できる状態にあります。
この空腹感が生まれるメカニズムも、やはりインスリンにありました。

インスリン出動時間が問題

インスリンくんは4時間働きます。働き続けます。
働き続けて血糖を下げ続けます。
一方、食べて手に入った糖分はインスリンのおかげで3時間で処理され、食事前の血糖値に戻ります

なんか1時間多く働いていますよね。
元の血糖値に戻ったというのに、インスリンは1時間余分に働いて残業代をいただいて帰っていきます。するとどうなるか?食事前より血糖値が下がります。この血糖値の低下が『空腹感』を人間の脳に伝えます。だからわたしらはお腹がすくのです。

1日3食キチンと食べてもどうしておなかが減るのか。それは朝食を食べたからおなかが減るということです。

ちなみにわたしも、昔にくらべかなり空腹感が薄れましたが、やはりちょっとケーキとか、プリンとかでご褒美あげちゃった日の翌日、またはその日の夜なんかはかなり強い空腹感を感じます。

この違いは、体感で明らかな違いがありました。

反省:総量制限ではダメだった。なんなら総量も多かった

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ということで、わたしの糖質制限生活の大きなミスはそのゆるさにありました。
たとえ総量で抑えたとしても、1食に「えーい、今日かなり制限イケてるから夕飯は40g摂っちゃえ」なんてやってたら、本末転倒。

インスリンくんの発動を止められなかったわけです。

中途半端になら糖質制限はできた。
だから中途半端にインスリン分泌は抑えられた。
中途半端に脂質と糖質を摂った日もあった。
そうしてインスリンと脂質と糖質は見事な化学反応を巻き起こした。(脂肪を蓄えた)
加えてわたしは運動不足だった。(消費カロリーが極小で脂質を燃焼させなかった)

わたしにはストイックさがたりなかったのです。

結論:糖質制限とはインスリンとの闘いである

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誤解のないように、インスリンはもちろん素晴らしい機能です。
インスリン反応がないとヒトはいざという時、とても健康ではいられません。

でも、ダイエット中であれば彼は宿敵です。

世間で出回っている糖質制限には、それぞれ多くの方法論があります。
制限する量の違い、注目する成分の違い、参考とする医学論の違い。

そんななかで、わたしの場合は自分で設定した制限量がゆるかったということ。
制限方法がゆるかったということ。
加えて消費カロリーが尋常じゃないほど少ない運動不足だったということ。

わたしがやろうとしている糖質制限はインスリンの発動抑制がポイントでした。

今度はいずれ、本件に類似したがちょっと観点の違う「食べない状態」「つまり断食」について考察してみたいと思います。  

参考文献